2020年度9月度 DNA定例会開催レポート

2020年9月18日(金)にDNA定例会を開催いたしました。

121447263_977638345978760_875734542698174829_n

今回の定例会は、「2024年度を見据えた運送事業者の人事制度」をテーマに、会員企業のエスエーサービス株式会社の人事制度改革について、同社の坂中社長と同社の人事制度改革パートナー企業・御堂筋税理士法人の村尾氏をお迎えしたトークセッション形式で展開いたしました。

2024年4月1日から運送業界で適用される時間外労働上限規制(年960時間)。来るべき時短労働ルール化に向けて働き方をどう変えていくのか?多くの運送経営者の最大の関心経営課題をエスエーサービス株式会社としてどう取り組まれているのかについてお話し頂きました。

時短勤務に向け社員の業務生産性向上の為には、社員の意識づくりを変えることが必須。その前提の下、同社では何が社員にとってこの会社における“働き甲斐”が何なのかを見極め、そこに応じた部門毎のキャリアコースを新たに設計しました。その上で、個々の社員が自発的に自分に合う今後の働き方を選択する施策をスタートさせました。

制度構築にあたり、重要だったのは社内コミュニケーションだったようです。なぜ新評価制度が必要なのか?エスエーサービス株式会社ではどの様な切り口で社員の働き方を評価していくのか?経営者から経営管理者層に伝えていくコミュニケーション。新制度にあたり経営管理者層が社員の働き甲斐を評価できるように月一ベースの面談を行うコミュニケーション。リニューアルされた評価制度に対して社員が納得感をもって理解できることを目指し、コミュニケーションの質と量を上げていくことにこだわったようです。

これまでの運ぶ量で評価される稼ぎ方から、リーダシップにより組織の生産性を高めることが評価される働き方へ。会社の大きな転換点により、数人のドライバー社員の退職が発生したことも事実です。しかし、この機会に社内全体で改めて エスエーサービス株式会社の経営理念“安全を第一に、お客様の繁栄と社員の幸福(しあわせ)を運びます。”の意味を考え、これからの時短勤務への時代にどうチャレンジしていくのかについての意識共有と一体感が得られたことが収穫だったと坂中社長は話されていました。

今回の定例会トピックそのものが、多くの運送経営者の最大関心事ということもあり定例会参加者からはより突っ込んだ質問がなされ、社内資料を共有して欲しいというリクエストも多くありました。良いことも悪いことも包み隠さず情報開示された坂中社長のご厚意に感謝したいと思います。 DNAは今後もこうした企画を展開させて頂く予定です。

※この定例会の模様はDNA会員企業向けのこちらのFacebookページでご視聴いただけます。

2020年度7月度 DNA定例会開催レポート

2020年7月6日(月)にDNA定例会を開催いたしました。

オンライン開催となった今回の定例会は、「人材が定着する物流企業の在り方」をテーマに会員企業の株式会社エー・シー・トランスポート池永社長をお迎えしたディスカッション形式でお送りいたしました。

2002年に池永氏が埼玉県戸田市で創業した株式会社エー・シー・トランスポート。創業3年目にはトラック保有台数30台を抱えるまでに成長しました。しかし、その後、人が入ってもすぐ辞めてしまう悪循環が続く様になります。

「何が悪いのだろう?」 池永氏は、経営者として自問自答する中、先輩経営者のアドバイスで研修を受けるようになります。そして、その研修を通して“自分の為の会社”から“社員の為の会社”と考えが改まり、様々な社内改革に取り組みます。

180度変わった社内環境により明るい社風として知られる同社は、その後も順調に業績を伸ばし人が定着する会社へと変貌を遂げました。同社の変革の軌跡は、業界紙“ 物流Weekly“でも取り上げられ2018年の年間記事大賞に選出されました。

定例会では、物流企業経営者を中心とする20人のDNA会員の方々が参加され、池永氏の経営の振り返りを聞くと共に、そこから派生した質疑応答で盛り上がりました。

※この定例会の模様はDNA会員企業向けのこちらのFacebookページでご視聴いただけます。

2020年度6月度 DNA定例会開催レポート

2020年6月22日(月)にDNA定例会を開催しました。

「ウィズ・コロナ時代を生き抜く〜新型コロナ対策と今後の展望〜」をテーマに、DNA東海地区会員企業の株式会社マイシン辻社長と株式会社ラクネット近社長をゲストスピーカーにお迎えし、株式会社ヤマネット山田社長の司会の下DNAとして初となるZoomによるオンライン開催で実施いたしました。

株式会社マイシンの辻社長からは、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言発令と連動して会社としてどの様な対策を実施したのかを中心にお話し頂きました。視聴されている会員企業様からは、株式会社マイシンの迅速かつきめ細やかな対応について非常に参考になり自社でも取り入れたいとの声がありました。

自走陸送サービスを展開する株式会社ラクネットの近社長からは、コロナ発生というリスクに対していかにピンチをチャンスに変えるという発想で経営をしていくのかということを主眼にお話し頂きました。特に、コロナによる売上減少という事態に対し25%の値上げに踏み切ったお話では、その経営姿勢に共感し新たに獲得したお客様のエピソード含め視聴会員の皆様から驚きの声が上がっていました。

※この定例会の模様はDNA会員企業向けのこちらのFacebookページでご視聴いただけます。

2019年10月度 DNA定例会開催レポート

2019年10月28日(月)福岡県トラック総合会館2階にてDNA九州ブロック10月度定例会を開催しました。

『中小企業の人事評価制度とは』
講師:株式会社あしたのチーム 西日本営業部 福岡支社 給与コンサルタント 小林ゆき様

oct2

7割の従業員がその評価制度に満足していないと言われる人事評価制度。
その理由は、従業員が評価と報酬との関連性に対し納得感を持てていないことが原因とされています。どうすれば従業員が納得し、その上で社員の定着率を上げていけるのかを小林様にお伺いしました。

 

従業員の評価制度に対する不満は、報酬金額に対するものではなく、なぜその報酬金額なのか?についての説明に納得していないケースがほとんど。

人口減少、デジタル革命、労働生産性を高めようという時代背景もあり学卒一括採用、終身雇用、年功序列という日本の高度経済成長期を支えた三種の神器が崩壊しつつある。

既存社員の定着率を上げ生産性を上げるのが急務である。

何故、優秀な社員が離職してしまうのか?
理由は給与と頑張りの連動がないことが原因。
こんなにやったのになぜ皆と一緒なのか?
今までと違い働くことに対しての意識変化が起きている。
長時間働きたくない、所属意識が薄れている、教えて貰って当たり前、評価についても仕組みを求める。

働きたいと考える仕組みの基本3要素とは
①給与額決定の明確化
これだけ頑張れば、これだけ給与があがる
②コミュニケーションの充実
褒められたい、悩みを聞いて欲しい
③人材育成の仕組み
成果が出る行動を具体的に示して欲しい

労働生産性向上の為には
①仕事ができる人に仕事が集中しない環境が必要
ひとりひとりのできる仕事の範囲を広げる
②そもそも仕事が早く終わるようにする
個々の社員の能力アップ
③計画的な業務割り振りや無駄な作業の見直し
管理職のマネジメントスキルを上げる
⇒自律型人財を育成する仕組みが必要

エンゲージメントとは社員の一人ひとりが企業の掲げる『戦略・目標』を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲
エンゲージメントが高水準を維持している企業は低い企業に比べて1年後の営業利益率の伸びが3倍程度となる
エンゲージメントをはかるQ12(キュー・トゥエルブ)の実施

ESとエンゲージメントの違い(ハーズバーグの動機づけ・衛生理論より)
衛生要因(不満がなくなるだけ)
・企業の方針、管理体制
・管理状況、管理者との関係
・労働条件
・給与、賞与
・企業内の人間関係
動機づけ要因(充実・真の満足感)
・目標設定と達成
・目標達成時の評価

エンゲージメントを高める3要素
①企業の方向性に対する理解⇒ビジョン共有と目標設定
②帰属意識⇒面談とフィードバック
③行動意欲⇒報酬への連動

行動意欲を高めるために目標を自己設定する、目標達成に向けやる気が出る、正当に評価される。明確な報酬連動まで行う。人事評価制度の中で、まずは査定権をリリースすることで権限委譲を実施する。

その上であしたのチームが開発したコンピテンシー(行動特性)とMBO評価シートについて学んだ。
最後に実際のあしたのチームの「ゼッタイ評価」を活用している運送会社の評価シートをもとにどのように活用しているか? を学びあしたのチームが実施しているあしたの人事評価アワード受賞企業の動画にて「ゼッタイ評価」の活用事例を学んだ。

oct

2019年9月度 DNA定例会開催レポート

2019年9月18日(水)新橋フィルポートにて、9月DNA定例会を開催しました。

『オープンイノベーション~物流の力で社会課題を解決!~』
講師:セイノーホールディングス株式会社 
オープンイノベーション推進室室長 ココネット株式会社取締役社長 河合秀治様

pic1

1997年に西濃運輸株式会社に入社し、ドライバー業務からスタートした河合氏は、その後本社監査室での業務等を経て、社内では異例であったベンチャー企業(ココネット株式会社)を設立し、後に社長に就任。その後も10以上の社内ベンチャー立ち上げに奔走する異色の人材として注目を集めていらっしゃいます。運送事業の停滞を打破すべくゼロイチを生み出す挑戦を続ける河合氏に現在に至るまでの経緯をお伺いしました。

 

河合氏がこれまで立ち上げた主なプロジェクトは以下です。

※買い物弱者対策物流開発
現在、日本には、住居から半径500m以内に生鮮食品販売店舗、スーパーなどが無く車を持っていない65歳以上の方が800万人存在するとされている。こうした買い物弱者に対し食品をお届けするラストワンマイル物流を展開。同サービスの主力を担うのはシングルマザーなどからなるコミュニティコンシェルジュ。運転のスキルは高くないが、主婦目線でお客様のお困りゴトを解決することが顧客層からの信頼獲得につながり事業成長している。

※こども宅食プロジェクト参画
文京区と共同でひとり親家庭などの自宅に食品を無料で届ける物流サービス。ドライバーが玄関先までお伺いし各家庭とのコミュニケーションを取る中でその家庭で何が課題になっているのかをヒアリングし文京区に戻す。

※連携先海外コールドチェーン展開
インドネシアで冷凍食品の輸送を開始。工場から小売までの物流過程において商品(アイスクリーム)が溶けてしまう原因を分析し、専用トラック開発やドライバーのサービス価値向上を図り事業を軌道に乗せる。

※防災、減災事業展開
非常用発電設備の負荷試験、メンテナンス事業を展開。非常用発電設備がトラックのエンジンと全く構造が一緒であるためにトラックメンテナンス技術者の活用が可能。

※植物工場事業進出
埼玉倉庫の屋上にレタス工場を開発。これに伴いロゴ開発や従業員勤務施設のリニューアルを実施。ブランディング効果で社員雇用促進にも寄与。

※モエアグリファーム
熊本で東京ドーム3.5個分の有機栽培畑作を展開。障害者雇用を行っており黒字化を達成。

※パレットリユース事業
木製の使用済みパレットを再開発する事業。DIYタレントとして有名な森泉氏を起用するパレットアワードなどのPR施策により注目を集め、リユースされたパレットはおしゃれな什器としてベンチャー企業などで活用されている。

 

なぜ河合氏は、こうした社内ベンチャー立ち上げを実施出来ているのか?
その根源には、物流こそが様々な社会課題を解決できるという氏の強い信念があることが分かりました。セイノーホールディングス株式会社にはかつて混載便で初めて箱根の山を越えた運送会社としての歴史がある。会社として持っているDNAは新しいサービスに挑戦するというもの。河合氏は挑戦を続ける事で、現状の保守的な企業風土に風穴を開けていきたいと考えているとのことです。
トラックの積載効率平均40%、ドライバー不足等大きな課題を抱えている物流業界であるが“100個の水たまり”をつくる事で次なる時代の物流創造の萌芽を作っていこうとされています。

pic2

次回DNA定例会は11月18日(月)大阪にて近畿ブロック例会という形で開催致します。

7月度DNA四国ブロック例会 開催レポート

2019年7月18日(木)高松 5DAYSCOFFEEにて、7月DNA例会が開催されました。

『テーマ:地域における人材不足(雇用)の現状・課題』

パネラーの自己紹介(敬称略):
 有限会社生島興業 代表取締役 木村 征司
 琴平バス株式会社 代表取締役 楠木 泰二朗
 有限会社広野牧場 代表取締役 広野 豊
 株式会社西山自動車 専務取締役 西山 彰一朗

 

〇パネルディスカッション

質問)「各社の人材不足(雇用)の現状・課題をどう捉えているか」

(木村) 高卒の女性ドライバーを雇用した。如何に育て次代につなげていくかがカギ

(楠木)観光バス乗務者は不規則な勤務で獲得が難しい。未経験者に2種免許取得の全額補助を行うなど取り組んでいる

(広野) 7割が女性。長時間勤務とならないよう、牛の動きをAIで把握するなど業務効率の改善維持に努めている。

(西山) 全国民の9%が自動車業に従事してるとは思えない程、採用には苦戦している。

 

質問)「各社の人材不足(雇用)の取り組み(人材確保)を聞かせて下さい。」

(木村) 若い人の発想を大事にしている。HPやSNSでの発信・認知度アップが効果的である

(楠木) 環境事業を通じた地域への貢献を目指している会社としてPRしている。

(広野) 飲食店も経営しているので会社としての業態・見せ方に気を付けている。

(西山) 人気がない業種であることは仕方ないと思っている。法令に即した就業規則の改定など当たり前の事にしっかりと取り組むことが大切。

 

〇質疑応答
※DNA出島理事より各パネラーへ質問がありました。

(事務局レポート)上記の通り、雇用の問題・人材確保について活発なディスカッションが展開されました。パネラーの皆様からは業種・業態の垣根を超え、貴重なお話を多数頂戴することができた事に加え、質疑応答の場面ではDNA出島理事より、『実態の月当たり労働時間と給与支給額』について話が及ぶ等、踏み込んだ内容も展開されました。詳細については各社の企業秘密等の問題もあり、記載を控えさせて頂きますが一般社団法人ドライバーニューディールアソシエーションは今後も透明性のある会員同士の情報交換、ノウハウや取り組みの共有、勉強会やベンチマーク等を行い、切磋琢磨する場や機会をつくって参ります。

 

dna201907-1 パネルディスカッション風景

 

dna201907-2 DNA理事の皆様より熱い一言

2019年1月度 DNA定例会開催レポート

2019年1月15日(火)新橋フィルポートにて、1月DNA定例会を開催しました。

『ドライバーのための健康改革』
講師:医療法人社団せいおう会鶯谷健診センター
   事務長 伊藤芳晃
   総務人事部 部長 窪田勝則
   産業保健部 課長補佐 加藤久美子

image4

昭和24年に設立された鶯谷健診センターは、70年の歴史を持ち、民営化して10年、年間受診者数は27万人にのぼります。1日あたり600名が受診可能で、完全男女別となっています。女性の健診の抵抗を加味して、女性ならではの空間づくりにこだわり、2007年に開業した女性ドックは大好評。検査技師やドクターも女性で、男性は一切立ち入り禁止で、現在予約も取れない状況。正確、安全、安心、スムーズをコンセプトに健診サービスを行っており、受診継続率も高いということです。会社の健康経営をサポートし、産業医契約やストレスチェック、健康セミナー受託もしています。健康経営ホワイト500を申請、5つ星を獲得、今年もほぼ間違いなく認定されるだろう、とのこと。会社が健康経営をすることでよい状況を作ること、そうすることでよい人材が残る、運送業界は人の動きも激しいので、より必要になるでしょう、というお話をいただきました。

image3

会社には従業員に対する安全配慮義務があり、50名以上の事業所は労基署に結果報告をする義務もあるので、ぜひ健康診断の受診率100%を目指していきましょう。中でも40-74才のうち、生活習慣病の発症リスクが高い方が対象となる特定保健指導は、平成20年から厚労省主体でスタート。目的は医療費の削減です。取り組み事例:A社(タクシー会社)では8年連続で特定保健指導を実施、対象者は全員で強制参加としてきました。不参加の従業員は乗務禁止。結果として、体重と腹囲は平均して70%改善、食習慣は45%改善。従業員も健康に対して前向きになってきた、ということです。またB社(タクシー会社)では3年連続で特定保健指導を実施。指導と合わせて禁煙・AS(睡眠時無呼吸症候群)対策も実施し、営業所によっては灰皿を自主的に撤去されたという事例もあります。鶯谷健診センターではこれら会社の健康経営をフルサポート。施設健診、巡回健診が可能、また、対象者には検査日当日に案内をするので従業員の方の意識が高いうちにお話ができる、ということでした。

image2

〇質疑応答

(質問)重い病気を患った社員がおり、復職後に話をしようとしたが、彼は基本的に寡黙。あまり話をしないという特徴はドライバーにはめずらしくないタイプで、会社として社員の健康状態を懸念する目的の話でも、上司の面談のようにとらえていた様子。そもそも健康に関するリテラシーが低いのもあるが、会社に言ってくれない、本当にひどくなるまで病院にもいかないドライバーに対して、健康を守る側としてどのように対応したらよいか。

(講師回答)再検査の判定が出ていても、病院に行く人は少ない。まずはそこから、というのはおっしゃるとおり。当施設で受診した場合は所見があった場合はその場で話をさせてもらうし、必要に応じてその場で予約表を渡す。確かに倒れてから、究極になってから病院に行く、という人はいる。健診を受けて終わりではなく、対処をしてそこまでが健康診断ですよ、というのは個別に、地道に話をして理解してもらう必要があるだろう。一方で、病院に行く時間を取らせる、というような管理職の教育も必要。会社の雰囲気として管理職がそこまで面倒をみてあげる、という空気を醸成することが大事。医療機関で働く人間ですら、自己判断をして病院に行かないケースもあり、健康に対するリテラシーをあげるのは大切。

(会場より)当社では朝の挨拶で確認する方法をとっている。本人にとっても体の状態がわからなくても、挨拶が元気ないな、となったら「どうしたの?」と気にかける。あとは健康診断の評価が悪かった社員に個別に話をする。病気は心から発生するので一番いけないのはストレス。そこにはメスをいれる。腰に負担がかかる仕事の場合は腰痛検査を促すこともある。国からの助成金などを活用しながら、会社も負担を少なくして、スタッフさんにも会社がサポートしてくれる、という安心感を与えるのも大事だろう。

 

(質問)個人情報保護法があり、健診結果をあまり言ってはいけないというのが昨今ある。これについてはどうか。

(講師回答)基本項目の健診結果は会社の人事が情報をまとめている。これを例えば会社の会議の場で公表するのはまずいが、1対1での個別面談の際には話には出せる。確かにプライバシーへの配慮は必要なので、必要に応じて産業医から面談をしてもらう、というのが良いだろう。一方で、トップがどういう意識をもって経営しているか、が大事。個人情報保護法は拡大解釈しているところもあるので、社員を健康を守るためなら、やり方を気を付ければよい。社員一人がいなくなることは会社にとって損失。勉強をすれば意識も変わる。意識のさせ方をどうするか。コミュニケーションは苦手だとしても、自分の健康は自分で守るしかない。まず健診で早く発見すれば医療費は削減される。けんぽの予算の中でも健診の費用は10%あるかないか。ここをもっと充実させて、不幸な例を1つでも2つでもなくしていきましょう、ということ。最終的には自分で守るしかない。会社ができることは啓蒙。言い方を考える必要のある人もいるし、根気よく、地道に意識付けしていくしかない。あとは産業医をうまく使う。

image1

(質問)運送業界には社会保険未加入事業社がいたりするが、過去の分まで訴求して支払う必要性があり、それが結構な金額になることが加入を阻害する一因にもなっている。訴求がなくなるだけで、加入率も上がるのでは?

(講師回答)公平公正という大原則がある。そこをなくしてしまうと、きちんと公正にやっている会社からすると不公平になる。

 

(質問)年一回の健康診断を義務付けられて守っている会社も多いが、例えば癌を発見するのは難しいのか?健康診断とは別に何かをしないといけないか?

(講師回答)癌は通常のX線検査だけだと判定しづらい。法定項目だけだと癌の発見には足りない、法定項目は生活習慣病に偏っている。よって、がん検診ないしは人間ドックと併用していただきたい。検査はある程度ターゲットを決めてやるものなので、癌に関しては、網目を小さくすることが大事。癌は治る時代だから早期発見が大事。ある程度最新の検査を毎年同じことをやらなくてよいので、検査項目を変えて受けるのがよい。

 

皆さんは、年1回の健康診断を受診していますか?会社が従業員の健康を守り、労働環境を整えるのは義務である一方、従業員の側も自分の健康は自分で守るという「自立」が必要です。講師によると、年齢関係なく、若い人にも健診を受けてもらいたい、ということでした。若いうちに自分を知れば、そこから煙草をやめたりする、若いうちから対策することで功を奏する、食生活と睡眠と運動にも気を付ける、大原則でしょう。「一人教育してきた人間がいなくなるのは会社としても損失。企業として健康項目に費用を割くのは会社としては義務だろう。国としても医療費を削減したいので、しっかりやらない企業にはペナルティを課す方向性である」ということでした。貴重なお話、ありがとうございました。

次回DNA定例会は3月12日(火)四谷にて開催です。

12月度DNA東海ブロック定例会 開催レポート

12月11日(火)、DNA東海ブロック定例会を、開催しました。

今回は、山田団長こと、ヤマネット社代表の山田泰壮様を講師に迎え、「コーチング勉強会」を行いました。

コーチングとは何でしょうか。「教える」というのが指導する側からされる側への教え、であるのに対し、コーチングは広辞苑によると、「本人が自ら考え行動する能力を、コーチが対話を通して引き出す指導術」です。

DNA定例会東海12月

 聴くこと(受け手)の大切さを理解し良い社風を創り上げていくコラムの朗読のあと、コーチングの目的は

  ①成果を創り出すこと(社風の向上) 
  ②健全な人間関係づくり

にあることを、お話していただきました。

その後、参加者がAさん(=クライアント)、Bさん(コーチ役)に分かれて実習を行いました。テーマは「楽しかったこと、嬉しかったこと」。まずはクライアントであるAさんから、コーチ役であるBさんにテーマに即した話を1分お話します。この時、Bさんの聞き方次第、つまり興味がある態度か、ない態度か、でAさんの立場に立った人は、印象が大きく変わります。後者の場合、つまり、自分の話をさして聞いてもらえていない、と感じた場合は、その後、積極的に話したり、コミュニケーションを取ろうとはしなくなるものです。当然前者は、その逆です。

DNA定例会東海12月-2

その後、テーマを「1年の振り返り&来年のビジョン」に変更、再びAさんからBさんに3分話をしますが、今度はCさん(第三者)がBさんのコーチぶりを観察し、その良いところや癖を観ます。客観的な意見をもらうことで、さらに実習を俯瞰してみることができます。

実際にやってみると、「聞く態度」がいかに相手の能力や魅力を引き出す力をもっているかを体感できて面白いです。このコミュニケーション、仕事の場だけではなく、学校のような教育現場や家庭での親子関係でも共通するところが見られますね。

山田団長、貴重なワークショップをありがとうございました。

 

さて、次回の東海ブロック定例会では 1/22(火)15:00~ 『株式会社マイロジ(マルヒデ運送より社名変更)』の企業訪問を企画しています。お楽しみに!

2018年11月度 DNA定例会開催レポート

2018年11月27日(火)、東京貨物運送健康保険組合にて、11月度D.N.A定例会を開催しました。今回の講師は、D.N.A会員でもある拓殖大学商学部の角田光弘先生に、講義いただき、その後ディスカッションを行いました。

teireikai4

1. ロジスティクス企業が自らの取り組みでできることについて

角田先生から「人が働くことの意義や動機」「金銭的処遇がモラルやモチベーションの向上につながりうるか」という問題提起がありました。経験を通じてより一層難易度の高い仕事をできるようになって、高い報酬を得られるのが通例である一方、同じドライバーでも、電車の運転手は、報酬や職位を含め、経験を加味した年功序列制度が適用されるのに対し、バスの運転手はそれが必ずしも適用されていない現状。また、月額報酬に評価制度を取り入れることの意義を改めて提示くださいました。

人が働く動機とは? 「その仕事自体が好き!」、その仕事自体が行動目的やモラルの源泉となる場合です。「その仕事以外に理由あり」、例えば家族を養うため、より良い生活をしたい、敬愛する上司の役に立ちたい!など。双方とも頷けますが、角田先生が問題視したのは「後ろ向きに外発的動機付けをされた状態」です。すなわち、自らの処遇に危機感を抱いた従業員が解雇などの不利益をこうむることを避けるべくその仕事に精励しようとすること。平たく言えば、自分の心や体を置き去りにして無理をしている状態です。これが過ぎると、心や体に変調をきたします。

teireikai2

こういった現状を踏まえ、参加された運送会社さんではどのような報酬制度を取り入れているか、ディスカッションを行いました。

参加者さんの会社の報酬制度の一例:
「3年ほど前、歩合から能力、評価に基づく給与体系に切り替えた。4段階にランク分けして、現在は半年ごとに評価している。またボーナスとは別に、無事故の表彰金を出している。1日無事故だったら100円~200円で半年ごとに現金払い。今後検討しているのは、無事故の長期継続者がより報われるような形のもの。基本給ほぼ一本でやっているが、無事故の加算を追加している。ただ一方で残業稼ぎをする人が出てきてしまうので改善したい。技術が上がれば作業も早くなるので、標準運行時間を決めている。ただやりすぎると、事故を起こしたり事故を隠したりするケースも出てくるので、無事故とのバランスをみて評価して、基本給に加味している。その他、資格なども評価に反映することも検討いている。手当にはしたくない。理由は、過去に手当の種類がありすぎて、声が大きい人に給与が偏ってしまった。事故がない、コツコツやっている人が割に合わないのは避けたかった」

 頑張りが評価される評価制度をとりいれることで、ドライバーさんの動機付けを行う取り組みの一例です。会場からは「評価をする人たちのレベルあわせはどのようにするか?」という質問があり、「上長の評価に対して不満を持つドライバーもいるのは確か。ただ、先に管理職の評価制度を作ると、自分の評価ばかりでドライバーのことが見られなくなる。一方で、ドライバーに辞めてほしくないがために、評価をいいようにもっていく例も。課題」とのことでした。人がする評価なら、どんなに基準を作ってもその人物の知識や経験、倫理観は必ず入ります。かといって数値だけでは評価できない部分があり、そこを評価してあげたい、という思いが会社側にはある、ということでしょう。

 一方で、求人の際に、求人媒体の方のアドバイスで「仕事の内容より、会社のレクリエーションや社員旅行の写真を掲載して」成功している事例も共有されました。ほぼ仕事内容は掲載せずに(⁉)、写真も旅行の写真など楽しいもの、社長自ら楽しんでいる笑顔などを掲載、年齢層も幅広く応募があり、その後の定着率も上々とのこと。少子高齢化の波が押し寄せる課題は、この定例会でも何度か取り扱われています。人が、特に若年層がきてくれる求人のお決まりのパターンというのはないようですが、仕事や報酬制度の内容を明示する一方で、「表現」の大切さ、重要さを改めて認識させてくれる事例でした。文字で表現される以外の、会社のイメージに対して想像力がかきたてられるのは確かですし、今の日本になんとなく漂う閉塞感には、こういった「明るさ」は、実は思った以上に大切かつ必要とされているのかもしれません。

teireikai3

(↑明るい会社の方)

 

2. ロジスティクス企業が荷主様により一層ご理解をいただくことについて

 角田先生から、下記のような問題提起がありました。

1. 荷物の到着時刻に妥当性はあるか?
2. 荷主と納入先に理解いただくために何が必要か?
3. 繁忙期と閑散期でプライステーブルが異なることはありか?
4. 注文の早期割引、直前のキャンセルの有償化はありか?
5. 荷主や納入先がやっていた業務を請け負える業務は?

teireikai1

会場の意見:
・直前のキャンセルは、特に当日のキャンセル料は100%。
・キャンセル料は夕方4-5時にきたものは100ないしは70くらいはいただく。
・多重受けのような構造になっているので、伝達の悪さもある、実は午後でもよいのに午前必着となっていたりすることは多い。
・プライステーブルについては、スポットなら当たり前にある。引っ越し関係だと3月がピーク、など。
・正月3が日は値上げしてもらっており、ドライバーに還元している。会社にはいれない。
・業界を超えて、納期ありきは、問題だと思う。納期が無茶苦茶でできないサービスをできるといっていい加減なものを作っている。発売日が決まっているものなどは仕方ないが、それ以外で、果たしてそんなに急いでいる?というものが多い。トヨタ方式、在庫をもたなくなって、という流れのしわ寄せがきているのだろう
・荷主との交渉については、7-8年前からコツコツと交渉、スポットの仕事がほとんどなので、次に仕事をいただくときは、距離に応じた運賃表に基づき、この金額じゃないとできない、という提示をしている。それが実っているものもある、少しずつ全体の金額をあげる努力はしている。
・ここ1-2年はキャンセル料や待機料の交渉を始めている。デジタコなど、時間を把握できるものがあるので、実態を示すことができる。最終顧客に交渉してもらわないとできませんよ、という形で交渉している。
・値上げ交渉で気を付けているのは、大手には強気に交渉、同業者はそこまでシビアにやっていない。お互いの助け合いが必要だったりするので。
・デジタコのデータをもとに値段があわないことを提示しても、検討しないところもあれば、同感しても支払いには影響させてくれないところ、きちんと影響させてくれるところ、様々。ただ、データを出しても信じてもらえないなら、仕事を失う覚悟をもって交渉している。
・待機時間については、スポットで待たされたときは請求する。駐車料金なども発生するので。
・値上げ交渉のとき、自社の経理状況を透明化してすべて提示。利益が残らないことを明示して運賃をあげてもらったことあり。お客さんは単純に知らないだけで、細かいところを説明すれば納得してくれることもある。
・荷物を降ろす場所が5階の階段などとんでもない場所だったりすると追加料金をもらったりする。
・意外に納品先のお客さんは到着時刻にこだわってなかったりする。営業が何時に指定するか、サービスとして聞いてしまっているのだろう。
・業務の請負については、センターの納品でやらなくてよいことをやらされるケースあり。間配り=店舗ごとに商品を仕分けする仕事。センターのピッキング作業員が人手不足でやる人がいない。大手スーパーはその傾向も強い、ひどいところはラベル貼りまで。運ぶ時間より、作業している時間のほうが長かったりする。運賃としてもらっているものだから、作業費としてもらわないとあわない、という話をしているが。ひどいときは3時間。問題になっている。

荷主さんとの交渉については、前回の定例会でも講義いただきましたが、「適正労働には適正運賃を」。不当なことはきちんと交渉する一方で、先方に悪意はなく、細かい事情を知らないだけであるケースもあるようです。伝えるべきところは誠意をもって伝えて、ご理解いただけなければご縁がなかったということ。難しい課題である一方、スタンスはシンプルでよいのかもしれません。

角田先生、貴重な講義と意見交換、ありがとうございました。

さて、12月のD.N.A定例会はお休みです。次回開催は2019年1月15日(火)16時より新橋フィルポートにて。オブザーバー参加ご希望の方はDNA事務局までお知らせください。

11月度DNA東海ブロック定例会 開催レポート

11月13日(火)、「11月度D.N.A東海ブロック定例会」を開催しました。テーマは「定着率向上」。今回は、株式会社TakeAction 名古屋支社長 伯本玲央様を講師としてお招き、 『定着率向上ツール'THANKS GIFT'』をご紹介いただきました。
https://thanks-gift.net/function/

images

社内で、頑張ってくれている社員さんに感謝の気持ちを伝える「ありがとうカード」を採用している会社さんもあるでしょう。普段、感謝の気持ちはなかなか伝える機会がなかったりしますが、機会がないだけで、意外と皆さん感謝しているものです。このアナログのカードをデジタル化したものが『定着率向上ツール'THANKS GIFT'』です。スマホを使って、ありがとうの気持ちをコインとメッセージに変えて贈りあうもの。紙のカードだと誰が誰に感謝しているのかも見えづらかったり、支店が違えばなかなか渡す機会もなかったり。そんな問題を解決、感謝を見える化して、手元のスマホで伝えやすくしたツールです。

受け取ったコインの数を評価に反映したり、表彰式を行ったりと、活用方法は会社さんそれぞれ。ありがとうのコインの数をポイントとして景品交換も可能です。アンケート機能もついているので、社員の意見を聞きたいときにも有効。定期的に活用することで、社員満足度をはかることもできるでしょう。

新たな時代を感じさせる興味深いツールですね。アナログにも、デジタルにも、良い面もあれば悪い面もあります。双方の「いいとこ取り」ができたら最高ですね(笑)いずれにせよ、「明るさ」「楽しさ」「ポジティブさ」を感じさせる事業だと思います。

東海ブロック定例会2

以下、会場から出た意見。

・スマホ世代には非常に面白い取り組みと感じる。スマホ完備などコスト面でやや
腰が引ける点が気になるところ。
・導入できればしたい。営業所間の交流が少ないこともありひとつのきっかけになる。
・活用できればいが社内に浸透させるのにかなりの労力を要するな、と。
・時代にマッチしたもの。現在アナログでありがとうカードはやっているがポイント制
には取り組んでいないので参考になった。
・直行直帰のスタッフが多い中,有効なツールと感じた。現状ラインを駆使してコミュニケーションをとっていることもあり、ありがとうを送る仕組みは導入しやすい環境。
ただデジタルだけではコミュニケーションは構築できないので、アナログも併用要。
・気持ちを直接伝えることが苦手な方には取り組みやすい仕組み。
・ポイント制でモノに変わっていくのはモチベーションに繋がりよい。
・やってみないとわからないので1年間導入を検討
・若いスタッフが喜びそうでよい。取り組み始めたアナログのありがとうカードも尻す
ぼみ気味にてまずはこちらが先か。
・アナログな人間関係とデジタルツールの併用が大切。いずれもマメさが重要。
・導入タイミングが重要で、効果が出るか否かはその会社次第。


その他、「定着率向上」のために何をやっているか、参加者の皆様から意見を募りました。

   <定着率向上に向けた取り組み>
・目標達成給導入
・給与は汗の量に対しての対価と組合を通して周知、同時に事故ともリンクさせる
汗の量の算出は?→労働時間・走行距離等で数値化
・無事故米の送付(無事故社員の自宅に米を郵送→社員の自覚,家族の感謝)
・減点→加点主義に変えた
・過去5年の退職者に本当の退職理由を確認したところ多くの原因である人間関係
に関する点を改善を計ったところ3名の社員が復帰してくれた
・BBQ大会など食事会の実施
・点呼者を管理者から乗務員リーダー、高齢のリタイヤされた方に任せたところ
乗務員の安心感に繋がっていると感じている
・代表者とドライバーさんとのランチタイムを設けコミュニケーションを活発化
・社内での面談頻度が増えていることもあり、いきなり退職のようなことは減っている
・社内でコーチングを学んだことが大きい。年齢に限らず前向きに受容してくれている
・とにかく繰り返し、繰り返し「活動」を継続。会社があるべき姿に向けて行動し続ける
ことで自然に淘汰され協力者が増えていく。→社内勉強会を再構築

皆さん、定着率向上のために努力されています。
さまざまな施策を通して、やっぱり最終的には「人と人」、といったところでしょうか。

次回の東海ブロック定例会は12月11日(火) 、『 コーチング勉強会 』 というテーマで山田団長(ヤマネット代表)が講師として登場です。楽しみにしていてくださいね。会場はヤマネットさんの名古屋セミナールームです。
※DNA定例会は会員限定の会合です。オブザーブ参加ご希望の方はDNA事務局までご連絡ください。