2019年1月度 DNA定例会開催レポート

2019年1月15日(火)新橋フィルポートにて、1月DNA定例会を開催しました。

『ドライバーのための健康改革』
講師:医療法人社団せいおう会鶯谷健診センター
   事務長 伊藤芳晃
   総務人事部 部長 窪田勝則
   産業保健部 課長補佐 加藤久美子

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昭和24年に設立された鶯谷健診センターは、70年の歴史を持ち、民営化して10年、年間受診者数は27万人にのぼります。1日あたり600名が受診可能で、完全男女別となっています。女性の健診の抵抗を加味して、女性ならではの空間づくりにこだわり、2007年に開業した女性ドックは大好評。検査技師やドクターも女性で、男性は一切立ち入り禁止で、現在予約も取れない状況。正確、安全、安心、スムーズをコンセプトに健診サービスを行っており、受診継続率も高いということです。会社の健康経営をサポートし、産業医契約やストレスチェック、健康セミナー受託もしています。健康経営ホワイト500を申請、5つ星を獲得、今年もほぼ間違いなく認定されるだろう、とのこと。会社が健康経営をすることでよい状況を作ること、そうすることでよい人材が残る、運送業界は人の動きも激しいので、より必要になるでしょう、というお話をいただきました。

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会社には従業員に対する安全配慮義務があり、50名以上の事業所は労基署に結果報告をする義務もあるので、ぜひ健康診断の受診率100%を目指していきましょう。中でも40-74才のうち、生活習慣病の発症リスクが高い方が対象となる特定保健指導は、平成20年から厚労省主体でスタート。目的は医療費の削減です。取り組み事例:A社(タクシー会社)では8年連続で特定保健指導を実施、対象者は全員で強制参加としてきました。不参加の従業員は乗務禁止。結果として、体重と腹囲は平均して70%改善、食習慣は45%改善。従業員も健康に対して前向きになってきた、ということです。またB社(タクシー会社)では3年連続で特定保健指導を実施。指導と合わせて禁煙・AS(睡眠時無呼吸症候群)対策も実施し、営業所によっては灰皿を自主的に撤去されたという事例もあります。鶯谷健診センターではこれら会社の健康経営をフルサポート。施設健診、巡回健診が可能、また、対象者には検査日当日に案内をするので従業員の方の意識が高いうちにお話ができる、ということでした。

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〇質疑応答

(質問)重い病気を患った社員がおり、復職後に話をしようとしたが、彼は基本的に寡黙。あまり話をしないという特徴はドライバーにはめずらしくないタイプで、会社として社員の健康状態を懸念する目的の話でも、上司の面談のようにとらえていた様子。そもそも健康に関するリテラシーが低いのもあるが、会社に言ってくれない、本当にひどくなるまで病院にもいかないドライバーに対して、健康を守る側としてどのように対応したらよいか。

(講師回答)再検査の判定が出ていても、病院に行く人は少ない。まずはそこから、というのはおっしゃるとおり。当施設で受診した場合は所見があった場合はその場で話をさせてもらうし、必要に応じてその場で予約表を渡す。確かに倒れてから、究極になってから病院に行く、という人はいる。健診を受けて終わりではなく、対処をしてそこまでが健康診断ですよ、というのは個別に、地道に話をして理解してもらう必要があるだろう。一方で、病院に行く時間を取らせる、というような管理職の教育も必要。会社の雰囲気として管理職がそこまで面倒をみてあげる、という空気を醸成することが大事。医療機関で働く人間ですら、自己判断をして病院に行かないケースもあり、健康に対するリテラシーをあげるのは大切。

(会場より)当社では朝の挨拶で確認する方法をとっている。本人にとっても体の状態がわからなくても、挨拶が元気ないな、となったら「どうしたの?」と気にかける。あとは健康診断の評価が悪かった社員に個別に話をする。病気は心から発生するので一番いけないのはストレス。そこにはメスをいれる。腰に負担がかかる仕事の場合は腰痛検査を促すこともある。国からの助成金などを活用しながら、会社も負担を少なくして、スタッフさんにも会社がサポートしてくれる、という安心感を与えるのも大事だろう。

 

(質問)個人情報保護法があり、健診結果をあまり言ってはいけないというのが昨今ある。これについてはどうか。

(講師回答)基本項目の健診結果は会社の人事が情報をまとめている。これを例えば会社の会議の場で公表するのはまずいが、1対1での個別面談の際には話には出せる。確かにプライバシーへの配慮は必要なので、必要に応じて産業医から面談をしてもらう、というのが良いだろう。一方で、トップがどういう意識をもって経営しているか、が大事。個人情報保護法は拡大解釈しているところもあるので、社員を健康を守るためなら、やり方を気を付ければよい。社員一人がいなくなることは会社にとって損失。勉強をすれば意識も変わる。意識のさせ方をどうするか。コミュニケーションは苦手だとしても、自分の健康は自分で守るしかない。まず健診で早く発見すれば医療費は削減される。けんぽの予算の中でも健診の費用は10%あるかないか。ここをもっと充実させて、不幸な例を1つでも2つでもなくしていきましょう、ということ。最終的には自分で守るしかない。会社ができることは啓蒙。言い方を考える必要のある人もいるし、根気よく、地道に意識付けしていくしかない。あとは産業医をうまく使う。

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(質問)運送業界には社会保険未加入事業社がいたりするが、過去の分まで訴求して支払う必要性があり、それが結構な金額になることが加入を阻害する一因にもなっている。訴求がなくなるだけで、加入率も上がるのでは?

(講師回答)公平公正という大原則がある。そこをなくしてしまうと、きちんと公正にやっている会社からすると不公平になる。

 

(質問)年一回の健康診断を義務付けられて守っている会社も多いが、例えば癌を発見するのは難しいのか?健康診断とは別に何かをしないといけないか?

(講師回答)癌は通常のX線検査だけだと判定しづらい。法定項目だけだと癌の発見には足りない、法定項目は生活習慣病に偏っている。よって、がん検診ないしは人間ドックと併用していただきたい。検査はある程度ターゲットを決めてやるものなので、癌に関しては、網目を小さくすることが大事。癌は治る時代だから早期発見が大事。ある程度最新の検査を毎年同じことをやらなくてよいので、検査項目を変えて受けるのがよい。

 

皆さんは、年1回の健康診断を受診していますか?会社が従業員の健康を守り、労働環境を整えるのは義務である一方、従業員の側も自分の健康は自分で守るという「自立」が必要です。講師によると、年齢関係なく、若い人にも健診を受けてもらいたい、ということでした。若いうちに自分を知れば、そこから煙草をやめたりする、若いうちから対策することで功を奏する、食生活と睡眠と運動にも気を付ける、大原則でしょう。「一人教育してきた人間がいなくなるのは会社としても損失。企業として健康項目に費用を割くのは会社としては義務だろう。国としても医療費を削減したいので、しっかりやらない企業にはペナルティを課す方向性である」ということでした。貴重なお話、ありがとうございました。

次回DNA定例会は3月12日(火)四谷にて開催です。

2018年11月度 DNA定例会開催レポート

2018年11月27日(火)、東京貨物運送健康保険組合にて、11月度D.N.A定例会を開催しました。今回の講師は、D.N.A会員でもある拓殖大学商学部の角田光弘先生に、講義いただき、その後ディスカッションを行いました。

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1. ロジスティクス企業が自らの取り組みでできることについて

角田先生から「人が働くことの意義や動機」「金銭的処遇がモラルやモチベーションの向上につながりうるか」という問題提起がありました。経験を通じてより一層難易度の高い仕事をできるようになって、高い報酬を得られるのが通例である一方、同じドライバーでも、電車の運転手は、報酬や職位を含め、経験を加味した年功序列制度が適用されるのに対し、バスの運転手はそれが必ずしも適用されていない現状。また、月額報酬に評価制度を取り入れることの意義を改めて提示くださいました。

人が働く動機とは? 「その仕事自体が好き!」、その仕事自体が行動目的やモラルの源泉となる場合です。「その仕事以外に理由あり」、例えば家族を養うため、より良い生活をしたい、敬愛する上司の役に立ちたい!など。双方とも頷けますが、角田先生が問題視したのは「後ろ向きに外発的動機付けをされた状態」です。すなわち、自らの処遇に危機感を抱いた従業員が解雇などの不利益をこうむることを避けるべくその仕事に精励しようとすること。平たく言えば、自分の心や体を置き去りにして無理をしている状態です。これが過ぎると、心や体に変調をきたします。

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こういった現状を踏まえ、参加された運送会社さんではどのような報酬制度を取り入れているか、ディスカッションを行いました。

参加者さんの会社の報酬制度の一例:
「3年ほど前、歩合から能力、評価に基づく給与体系に切り替えた。4段階にランク分けして、現在は半年ごとに評価している。またボーナスとは別に、無事故の表彰金を出している。1日無事故だったら100円~200円で半年ごとに現金払い。今後検討しているのは、無事故の長期継続者がより報われるような形のもの。基本給ほぼ一本でやっているが、無事故の加算を追加している。ただ一方で残業稼ぎをする人が出てきてしまうので改善したい。技術が上がれば作業も早くなるので、標準運行時間を決めている。ただやりすぎると、事故を起こしたり事故を隠したりするケースも出てくるので、無事故とのバランスをみて評価して、基本給に加味している。その他、資格なども評価に反映することも検討いている。手当にはしたくない。理由は、過去に手当の種類がありすぎて、声が大きい人に給与が偏ってしまった。事故がない、コツコツやっている人が割に合わないのは避けたかった」

 頑張りが評価される評価制度をとりいれることで、ドライバーさんの動機付けを行う取り組みの一例です。会場からは「評価をする人たちのレベルあわせはどのようにするか?」という質問があり、「上長の評価に対して不満を持つドライバーもいるのは確か。ただ、先に管理職の評価制度を作ると、自分の評価ばかりでドライバーのことが見られなくなる。一方で、ドライバーに辞めてほしくないがために、評価をいいようにもっていく例も。課題」とのことでした。人がする評価なら、どんなに基準を作ってもその人物の知識や経験、倫理観は必ず入ります。かといって数値だけでは評価できない部分があり、そこを評価してあげたい、という思いが会社側にはある、ということでしょう。

 一方で、求人の際に、求人媒体の方のアドバイスで「仕事の内容より、会社のレクリエーションや社員旅行の写真を掲載して」成功している事例も共有されました。ほぼ仕事内容は掲載せずに(⁉)、写真も旅行の写真など楽しいもの、社長自ら楽しんでいる笑顔などを掲載、年齢層も幅広く応募があり、その後の定着率も上々とのこと。少子高齢化の波が押し寄せる課題は、この定例会でも何度か取り扱われています。人が、特に若年層がきてくれる求人のお決まりのパターンというのはないようですが、仕事や報酬制度の内容を明示する一方で、「表現」の大切さ、重要さを改めて認識させてくれる事例でした。文字で表現される以外の、会社のイメージに対して想像力がかきたてられるのは確かですし、今の日本になんとなく漂う閉塞感には、こういった「明るさ」は、実は思った以上に大切かつ必要とされているのかもしれません。

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(↑明るい会社の方)

 

2. ロジスティクス企業が荷主様により一層ご理解をいただくことについて

 角田先生から、下記のような問題提起がありました。

1. 荷物の到着時刻に妥当性はあるか?
2. 荷主と納入先に理解いただくために何が必要か?
3. 繁忙期と閑散期でプライステーブルが異なることはありか?
4. 注文の早期割引、直前のキャンセルの有償化はありか?
5. 荷主や納入先がやっていた業務を請け負える業務は?

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会場の意見:
・直前のキャンセルは、特に当日のキャンセル料は100%。
・キャンセル料は夕方4-5時にきたものは100ないしは70くらいはいただく。
・多重受けのような構造になっているので、伝達の悪さもある、実は午後でもよいのに午前必着となっていたりすることは多い。
・プライステーブルについては、スポットなら当たり前にある。引っ越し関係だと3月がピーク、など。
・正月3が日は値上げしてもらっており、ドライバーに還元している。会社にはいれない。
・業界を超えて、納期ありきは、問題だと思う。納期が無茶苦茶でできないサービスをできるといっていい加減なものを作っている。発売日が決まっているものなどは仕方ないが、それ以外で、果たしてそんなに急いでいる?というものが多い。トヨタ方式、在庫をもたなくなって、という流れのしわ寄せがきているのだろう
・荷主との交渉については、7-8年前からコツコツと交渉、スポットの仕事がほとんどなので、次に仕事をいただくときは、距離に応じた運賃表に基づき、この金額じゃないとできない、という提示をしている。それが実っているものもある、少しずつ全体の金額をあげる努力はしている。
・ここ1-2年はキャンセル料や待機料の交渉を始めている。デジタコなど、時間を把握できるものがあるので、実態を示すことができる。最終顧客に交渉してもらわないとできませんよ、という形で交渉している。
・値上げ交渉で気を付けているのは、大手には強気に交渉、同業者はそこまでシビアにやっていない。お互いの助け合いが必要だったりするので。
・デジタコのデータをもとに値段があわないことを提示しても、検討しないところもあれば、同感しても支払いには影響させてくれないところ、きちんと影響させてくれるところ、様々。ただ、データを出しても信じてもらえないなら、仕事を失う覚悟をもって交渉している。
・待機時間については、スポットで待たされたときは請求する。駐車料金なども発生するので。
・値上げ交渉のとき、自社の経理状況を透明化してすべて提示。利益が残らないことを明示して運賃をあげてもらったことあり。お客さんは単純に知らないだけで、細かいところを説明すれば納得してくれることもある。
・荷物を降ろす場所が5階の階段などとんでもない場所だったりすると追加料金をもらったりする。
・意外に納品先のお客さんは到着時刻にこだわってなかったりする。営業が何時に指定するか、サービスとして聞いてしまっているのだろう。
・業務の請負については、センターの納品でやらなくてよいことをやらされるケースあり。間配り=店舗ごとに商品を仕分けする仕事。センターのピッキング作業員が人手不足でやる人がいない。大手スーパーはその傾向も強い、ひどいところはラベル貼りまで。運ぶ時間より、作業している時間のほうが長かったりする。運賃としてもらっているものだから、作業費としてもらわないとあわない、という話をしているが。ひどいときは3時間。問題になっている。

荷主さんとの交渉については、前回の定例会でも講義いただきましたが、「適正労働には適正運賃を」。不当なことはきちんと交渉する一方で、先方に悪意はなく、細かい事情を知らないだけであるケースもあるようです。伝えるべきところは誠意をもって伝えて、ご理解いただけなければご縁がなかったということ。難しい課題である一方、スタンスはシンプルでよいのかもしれません。

角田先生、貴重な講義と意見交換、ありがとうございました。

さて、12月のD.N.A定例会はお休みです。次回開催は2019年1月15日(火)16時より新橋フィルポートにて。オブザーバー参加ご希望の方はDNA事務局までお知らせください。

11月度DNA東海ブロック定例会 開催レポート

11月13日(火)、「11月度D.N.A東海ブロック定例会」を開催しました。テーマは「定着率向上」。今回は、株式会社TakeAction 名古屋支社長 伯本玲央様を講師としてお招き、 『定着率向上ツール'THANKS GIFT'』をご紹介いただきました。
https://thanks-gift.net/function/

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社内で、頑張ってくれている社員さんに感謝の気持ちを伝える「ありがとうカード」を採用している会社さんもあるでしょう。普段、感謝の気持ちはなかなか伝える機会がなかったりしますが、機会がないだけで、意外と皆さん感謝しているものです。このアナログのカードをデジタル化したものが『定着率向上ツール'THANKS GIFT'』です。スマホを使って、ありがとうの気持ちをコインとメッセージに変えて贈りあうもの。紙のカードだと誰が誰に感謝しているのかも見えづらかったり、支店が違えばなかなか渡す機会もなかったり。そんな問題を解決、感謝を見える化して、手元のスマホで伝えやすくしたツールです。

受け取ったコインの数を評価に反映したり、表彰式を行ったりと、活用方法は会社さんそれぞれ。ありがとうのコインの数をポイントとして景品交換も可能です。アンケート機能もついているので、社員の意見を聞きたいときにも有効。定期的に活用することで、社員満足度をはかることもできるでしょう。

新たな時代を感じさせる興味深いツールですね。アナログにも、デジタルにも、良い面もあれば悪い面もあります。双方の「いいとこ取り」ができたら最高ですね(笑)いずれにせよ、「明るさ」「楽しさ」「ポジティブさ」を感じさせる事業だと思います。

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以下、会場から出た意見。

・スマホ世代には非常に面白い取り組みと感じる。スマホ完備などコスト面でやや
腰が引ける点が気になるところ。
・導入できればしたい。営業所間の交流が少ないこともありひとつのきっかけになる。
・活用できればいが社内に浸透させるのにかなりの労力を要するな、と。
・時代にマッチしたもの。現在アナログでありがとうカードはやっているがポイント制
には取り組んでいないので参考になった。
・直行直帰のスタッフが多い中,有効なツールと感じた。現状ラインを駆使してコミュニケーションをとっていることもあり、ありがとうを送る仕組みは導入しやすい環境。
ただデジタルだけではコミュニケーションは構築できないので、アナログも併用要。
・気持ちを直接伝えることが苦手な方には取り組みやすい仕組み。
・ポイント制でモノに変わっていくのはモチベーションに繋がりよい。
・やってみないとわからないので1年間導入を検討
・若いスタッフが喜びそうでよい。取り組み始めたアナログのありがとうカードも尻す
ぼみ気味にてまずはこちらが先か。
・アナログな人間関係とデジタルツールの併用が大切。いずれもマメさが重要。
・導入タイミングが重要で、効果が出るか否かはその会社次第。


その他、「定着率向上」のために何をやっているか、参加者の皆様から意見を募りました。

   <定着率向上に向けた取り組み>
・目標達成給導入
・給与は汗の量に対しての対価と組合を通して周知、同時に事故ともリンクさせる
汗の量の算出は?→労働時間・走行距離等で数値化
・無事故米の送付(無事故社員の自宅に米を郵送→社員の自覚,家族の感謝)
・減点→加点主義に変えた
・過去5年の退職者に本当の退職理由を確認したところ多くの原因である人間関係
に関する点を改善を計ったところ3名の社員が復帰してくれた
・BBQ大会など食事会の実施
・点呼者を管理者から乗務員リーダー、高齢のリタイヤされた方に任せたところ
乗務員の安心感に繋がっていると感じている
・代表者とドライバーさんとのランチタイムを設けコミュニケーションを活発化
・社内での面談頻度が増えていることもあり、いきなり退職のようなことは減っている
・社内でコーチングを学んだことが大きい。年齢に限らず前向きに受容してくれている
・とにかく繰り返し、繰り返し「活動」を継続。会社があるべき姿に向けて行動し続ける
ことで自然に淘汰され協力者が増えていく。→社内勉強会を再構築

皆さん、定着率向上のために努力されています。
さまざまな施策を通して、やっぱり最終的には「人と人」、といったところでしょうか。

次回の東海ブロック定例会は12月11日(火) 、『 コーチング勉強会 』 というテーマで山田団長(ヤマネット代表)が講師として登場です。楽しみにしていてくださいね。会場はヤマネットさんの名古屋セミナールームです。
※DNA定例会は会員限定の会合です。オブザーブ参加ご希望の方はDNA事務局までご連絡ください。

2018年9月度D.N.A定例会 開催報告

9月25日(火)、新橋フィルポートにて「9月度D.N.A定例会」を開催しました。今回のテーマは「定着率の向上の為の取組」。最近は、どこの会社でも人手不足が続いています。その上、せっかく採用した社員さんが会社を去っていく、こうした状況はもちろんどこの会社だって避けたいもの。定着率をあげることは、おそらく業界問わず、経営上必要不可欠ではないでしょうか。今回は、D.N.Aの理事が、自社での独自の取り組みを発表しました。

 

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■「目標達成給制度の導入」 安立運輸株式会社

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出島理事が代表を務める安立運輸株式会社では、従業員満足度をあげる取り組みとして「目標達成給制度」を2014年9月に導入しました。出島理事が代表を継いでから感じたのは、成長途上を経験している社員ほどやる気があり、前向きだということ、一方で成長しきった環境に慣れた社員さんの士気が低かったこと。自分の努力で会社が大きく成長してきたという経験がある社員さんは会社が好きだと感じてくれている、また、成長しているときは給与もあがっていました。この経験から、会社を好きになってもらうことと、成長することでそれが給与にも反映されるという2点が、会社の定着率に大きく寄与すると実感したことが、制度導入の経緯でした。

同制度では目標を最大5項目として、1つ以上設定。最低1つは業務にかかわること、例えば、無事故・無違反、デジタコの平均点数99点以上、など。それ以外は仕事に限らず、客観的に確認でき、成長が認められる目標なら生活や趣味でも認めるというのがユニークでした。例えば、ゴルフのスコアや、健康診断の数値目標でもOKです。対象者は、3か月以上所属の正社員のほか、アルバイトや嘱託も含まれます。

結構なコストになると思うが、従業員の反応やアクションは?どうか、という質問に対し、制度導入後、目標もなく漠然と仕事をしていた社員が、目標をもって仕事にあたってくれるようになったり、業務以外の目標を話題にすることでプライベートな話題でコミュニケーションを図ったりするようになった、参加率は85%、うち達成率は88%ほど、1目標につき1万円を支給しているが、クオカードなどでもよいだろう、ということでした。

「目標の結果に対して、自分がコメントを書いている。人事評価制度を作って頑張ったから給与が上がったということを明示していきたい」と、締めくくりました。

 

■「エスエーサービス株式会社の人材確保」エスエーサービス株式会社

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坂中理事が代表を務めるエスエーサービス株式会社では、人材確保戦略として、女性の採用担当責任者をおきました。入社当初、彼女はAT免許のみ所持していましたが、大型やけん引免許まで取得して、やる気さえあれば性別問わず、チャレンジする環境を提供するアイコンとして、活躍してくれているそうです。

人材確保として一番効果があったのは「ハローワークの活用」。トラック乗務経験がなくても軽トラ乗務からスタートできることを明示して、未経験層にまで募集の幅を広げる工夫をしています。その他、安全を徹底的に優先していることや、休憩時間もしっかり確保していることなどをアピール。募集についてはもう一つ、indeedを活用しており、人材確保のルートとしては、この2つ柱で効果をあげている、というお話でした。

おかげで応募や採用は増えたので、今後はより一層定着率に力をいれたい、今後の取り組みとしては。賃金規定の見直し、LGBTなど特定人材マーケットの活用(実際に専用のウェブサイトがあるそうです)、新人業育カリキュラムの設置、人材育成を予定している、というお話でした。

人材確保ルートは、これまでも定例会で何度かテーマとして取り上げていますが、地域や募集ターゲットによる特性があるようです。採用効果を上げるには、まずその特性をつかむ、というのは大事なポイントのようですね。坂中理事の会社は関西圏ですので、東京で生のお話をいただくのは大変貴重だったと思います。

 

■「会社の魅力を打ち出す」株式会社エー・シー・トランスポート

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次は、池永理事が代表を務める株式会社エー・シー・トランスポートさん。ご担当のフクシマさんが、発表くださいました。エー・シー・トランスポートさんは、「自己成長」「研修制度」「チャレンジ」「成長性」「熱い!優しい!面白い!経営陣」というキーワードを掲げて、活気のある会社づくりをしています。中でも目に付いたのは「やってみたい!は会社のタカラ」というキーワード。何かをやってみたい!といったときにそれを「宝」といってくれる土壌があれば、社員さんの提案も活発になって、会社にも活気がでることは想像に難くありません。

「自己成長」を促す、また実際にそれを感じてもらう制度として、「理念と経営勉強会」や「社外リーダー研修」等さまざまな研修のほか、D.N.A主催の「トラックドライバー甲子園」も多いに活用くださっているとのこと、ドライバーさんが、公に表彰されたり、評価されたりする機会です。

その他、会社の10年後のビジョンを社員さんに明確に示していました。「地域で働きたい企業NO1へと成長する」というビジョン。これは福利厚生などの待遇的な面と、やりがいを感じる心の面、双方のNO1を目指しています。さらに、社員さんはもちろんのこと、社員さんのご家族もお招きして、BBQ大会や餅つき大会も開催しているそうです。会社に愛着をもってもらう、というのは定着率を上げるうえで、キーポイントといえそうです。

取り組みの成果はどうか? という質問に、勤続年数5年以上の社員さんの定着率は良い、ということでした。会場からは、実際にエー・シー・トランスポートさんは若手が元気なイメージが強い、というご意見も。「若者が元気」。これは、会社や団体が存続するキーポイントだと思います。いつの時代でも、時代を切り開くのは若者ですから。

 

■「外国人雇用について」株式会社フローラ・アミ

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3社からの事例共有の後、株式会社フローラ・アミ代表の前田智之様にご登壇いただき、「外国人雇用について」講演いただきました。日本の労働力人口が減っていく中、労働力不足が各業界で深刻になってきています。どの業界もその影響を受けて、人材確保が年々、困難になっている中、外国人の人材活用を推進する会社さんです。

外国人を雇用するには、当然ビザが必要です。在留資格をもつ人数もここ数年うなぎ上りです。確かに、コンビニやファーストフードで働く外国人を目にする機会も、多くなりました。では人手不足の運送業界でもぜひ、といきたいところですが、残念ながら、就労資格付与の上で、運送業界は外国人雇用促進の対象外、ということでした。運送業のドライバーでは就労ビザが取得できない、すなわち、正式な受け入れができない、と。当然これには会場から「なぜ」の声。前田氏によると「技能が外からみた場合に見えづらいのだろう。就労を許可する上で、どういうスキルを持てば許可できるか、その基準が素人からすると見えにくい、それが制度化しづらい一因では」という回答でした。

ではどうするか。外国人ドライバーを「養成」するのだそうです。会社が融資して、現地で運転免許を取得してもらい、日本にきて日本語を学んでもらう、同時に外国免許を切り替え、専門学校を出てから、管理職候補という立場で会社に受け入れる流れ。ただし、一般化プロセスではないので、実際に行う際は課題も出てくる可能性があります。中でも、人口ピラミッドで若者層が圧倒的に多いベトナムは人材マーケットしてポテンシャルが高い、以前は「即戦力型」の外国人採用が主流だったが、現在は「養成型」に軸足を置いて、ビザが拡充してきている、というお話でした。

ひと昔前は、どこへいっても経験や即戦力ばかり求められる、では新人はどうすればよいのか、という時代でしたが、今は「養成型採用」という考えが広がっているというお話のは、目から鱗でした。

 

今回は、講師が4名いらしたこともあり、盛沢山な内容でした。皆様、ありがとうございました。

D.N.A定例会ではここに書ききれないくらい、貴重な情報共有がなされていますので、ぜひ会場へお越しください。次回は10月22日(月)の開催です。ご興味ある方は事務局(dna.secretariat@gmail.com)まで、ご連絡ください。

2018年8月22日D.N.A定例会開催報告

 8月22日(水)16時より、新橋フィルポート4F大会議室にて、8月度DNA定例会を開催しました。今回は、東京海上日動火災保険株式会社 営業企画部の方に講師としてお越しいただき、「健康経営」について、教えていただきました。

■「今、なぜ健康経営なのか?~運送業における健康経営~」

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 労働力人口の減少が課題である日本において、社員が元気で働き続けることができる職場づくりをすること、それが「健康経営」です。ここでの「健康」は社員さんの心身の健康に会社が取り組むことを指しています。社員の定着による離職率の低下、会社/採用でのアピール、ビジネスパートナーからの信頼、地域からの信頼など、メリットは多岐にわたります。

 健康経営優良法人として国(経済産業省)が認定する制度として「ホワイト500」というものがあります。大規模法人部門、中小規模法人部門があり、健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。(経産省サイトより抜粋)

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 今は、ネット、情報社会。就職においてもネットで情報収集をするのが主。そこでホワイト500を通じて健康経営に力をいれていることをアピールすると、人材も集まりやすい、というお話がありました。内定した学生さんが親御さんに相談して、親御さんがインターネットでその会社を検索、確認した上で、内定受諾を決定することもあるんだそう。社内外のアピールや、採用定着にもつながるのも頷けます。経産省の認定マークをフルに活用して、採用活動やPRにして使うことも可能です。

 講師からは「健康経営度セルフチェックリスト」が配布され、資料のセルフチェックリスト15項目を確認、自社がホワイト500に該当しているようであれば、さらに詳細な調査票があるので、相談にのります、ということでした。興味を示す会社さんが多いのに対し、ご案内くださる人材に限りがあるとのことで、遠隔地ないしはお急ぎの会社さんに対しては、オンラインでのご相談も受け付けている、ということでした。

 次は、関連会社の株式会社アドバンテッジリスクマネジメントの方に講師交代、「安心して療養できる環境整備について」講演いただき、健康経営の一環として、GLTD(団体長期障害所得補償制度)に会社が加入するメリットについて、教えていただきました。いわゆる所得補償保険ですが、健康保険の傷病手当金の額が上乗せされるものです。傷病手当金より、カバーされる疾病の幅が広く、保険金も基本給の〇〇%や月額〇〇万、など選択可能。もし何かの理由で働けなくなった際も、会社がこういった保険に加入していると安心です。「労災などは一定期間で打ち切られるので、その後の補償。大病して働けなくなった人に、一時金は出せても、退職以降には会社は何もできない。この保険を使うことで、将来にむかってワークしていく。退職後も含めた保険制度と考えて頂ければ」というお話でした。

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 講演後は各社の事例を共有し、「こういった場合はどうしたらよいか?」「経営者として自分に何ができたのか」など、協議、質疑応答を行いました。命にかかわる疾病に侵された場合、会社には何も言わずに辞めるというケースがままある、でもこういった制度があることがわかっていれば会社に伝えて、会社がバックアップしてくれると思ってくれるなら、それがその人にとってどんなに大きな支えとなったことか、というお話もありました。そのほかにも、現代では珍しくなくなった心を病むケースについて。個人差が大きすぎるため、会社として一律した方針や対策が有効ではありません。こういった場合は何ができるか、また別の場合は何ができるか、出席者で議論を交わしました。経営者/担当者として抱える悩みを、ひとりだけで自社だけで抱えずに、改善に向けて専門家や他社の事例から学ぶ、定例会の最大の醍醐味です。

 さて、次回のDNA定例会は9月25日(火)、同じく16時から新橋フィルポートにて行います。テーマは「社員の定着率」対策について。DNA会員限定の会合ですが、初回に限りオブザーバー参加も可能です。オブザーバー参加をご希望の方は、事務局(dna.secretariat@gmail.com)までその旨、ご連絡ください。